法律・会計業務 Legal/Accounting Services
法律・会計業務ビザは、①弁護士、②司法書士、③土地家屋調査士、④外国法事務弁護士、⑤公認会計士、⑥外国公認会計士、⑦税理士、⑧社会保険労務士、⑨弁理士、⑩海事代理士、⑪行政書士のためのビザ(在留資格)です。
もくじ
1. 法律・会計業務ビザの要件(条件)
法律・会計業務ビザは、日本の法律(出入国管理及び難民認定法)で次のように定められています。
日本での活動が次に該当していることが、法律・会計業務ビザの要件(条件)となります。
外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動
出入国管理及び難民認定法 別表第1の2の表
- 法律に基づく資格がなければ従事することが認められていない、法律または会計に係る業務に従事する活動が該当します。
- 「外国法事務弁護士、外国公認会計士」は例示です。
「外国法事務弁護士」は、外国弁護士の資格を有する者で、法務大臣の承認を受け、日本弁護士連合会に備える外国法事務弁護士名簿への登録を受けたもののことです。
「外国公認会計士」は、外国で公認会計士の資格に相当する資格を有し、会計に関連する日本の法令について相当の知識を有する者で、内閣総理大臣による資格の承認を受け、日本公認会計士協会による外国公認会計士名簿への登録を受けたもののことです。 - 資格を有する者が行う活動でも「資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務」以外の業務に従事する場合は、法律・会計業務ビザに該当しません。
たとえば、弁護士の資格を有する者が、企業に雇用されて、資格を有する者でなくても従事することができる法務・財務・コンサルなどの業務に従事する場合は、仮に法律の専門知識をいかして従事するときでも、法律・会計業務ビザに該当しません。
この場合は、技術・人文知識・国際業務ビザ、経営・管理ビザ、高度専門職ビザなどに該当しえます。 - 「資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務」に従事する活動の一環として、資格を有する者でなくても従事することができる活動を行うことは、差し支えありません。
- 在留期間は「5年、3年、1年、3ヶ月」の中で、いずれかの期間が決定されます。
2. 法律・会計業務ビザの上陸許可基準
法律・会計業務ビザの在留資格認定証明書交付申請は、上記「1. 法律・会計業務ビザの要件(条件)」に該当していることに加えて、次の上陸許可基準に適合していることが必要です。
なお、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請についても、上陸許可基準に原則として適合していることが求められます。
申請人が弁護士、司法書士、土地家屋調査士、外国法事務弁護士、公認会計士、外国公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士としての業務に従事すること。
上陸基準省令
- 次のいずれかの日本の法律に基づく資格を有し、その資格の業務に従事する必要があります。
①弁護士、②司法書士、③土地家屋調査士、④外国法事務弁護士、⑤公認会計士、⑥外国公認会計士、⑦税理士、⑧社会保険労務士、⑨弁理士、⑩海事代理士、⑪行政書士
*中小企業診断士や不動産鑑定士などの資格は対象となりません。 - 上記の資格の業務に従事するには、弁護士会・行政書士会などの士業団体に登録する必要があります。
そのため、法律・会計業務ビザを取得するには、資格試験に合格しているだけでなく、士業団体に登録している必要があります。 - 学歴・実務経験や報酬についての基準はありません。
なお、報酬についての基準はありませんが、日本で法律・会計業務ビザに該当する活動を行い、その活動で安定した生活をおくることのできる十分な収入を得られる必要はあります。
3. 変更・更新のガイドライン
在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請は、上記「1. 法律・会計業務ビザの要件(条件)」に該当していること、上記「2. 法律・会計業務ビザの上陸許可基準」に原則として適合していることに加えて、次の事項が考慮されます。
なお、次の事項は代表的な考慮要素です。これらのすべてに該当する場合でも、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更・更新の申請が不許可となることもあります。
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
申請人である外国人が、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要です。
例えば、除籍・退学後も在留を継続していた留学生については、現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことについて正当な理由がある場合を除き、消極的な要素として評価されます。 - 素行が不良でないこと
素行については、善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価されます。
具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。 - 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
申請人の生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産または技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります。)が求められます。
仮に公共の負担となっている場合でも、在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には、その理由を十分勘案して判断されることとなります。 - 雇用・労働条件が適正であること
日本で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。
なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して判断されることとなります。 - 納税義務等を履行していること
納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。
例えば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。
なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱われます。
また、国民健康保険料など、法令によって納付することとされているものについて、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱われます。
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人の方は、入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
<中長期在留者の範囲>
入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人で、次の①~⑤のいずれにも該当しない者
① 3ヶ月以下の在留期間が決定された者
② 短期滞在の在留資格が決定された者
③ 外交・公用の在留資格が決定された者
④ ①②③に準ずる者として法務省令で定めるもの
⑤ 入管特例法に基づく特別永住者
2024年10月:在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン
4. 法律・会計業務ビザの質問
法律・会計業務ビザについて、よくある質問をご紹介します。
出入国在留管理局に提出する基本的な申請書類については、次の出入国在留管理庁のページを参照してください。
当事務所では、出入国在留管理庁のページに記載されている基本的な申請書類に加えて、申請理由書や状況に応じた申請書類などを提出しています。
出入国在留管理庁のページに記載されている基本的な申請書類だけでも受け付けてもらえますが、不許可や審査期間の長期化などのリスクを避けるために、申請理由書や状況に応じた申請書類などを提出して、法令の要件をクリアしていることを十分に立証しましょう。
日商簿記の資格で、法律・会計業務ビザを取得することはできません。
法律・会計業務ビザを取得するには、次のいずれかの日本の法律に基づく資格を有し、その資格の業務に従事する必要があります。
①弁護士、②司法書士、③土地家屋調査士、④外国法事務弁護士、⑤公認会計士、⑥外国公認会計士、⑦税理士、⑧社会保険労務士、⑨弁理士、⑩海事代理士、⑪行政書士
ちなみに、日商簿記の資格をいかした、会社の経理・財務などの仕事は技術・人文知識・国際業務ビザ、会社の経営や管理の仕事は経営・管理ビザや高度専門職ビザなどを取得できる可能性があります。