教授 Professor
この記事は、教授ビザの要件(条件)、他のビザとの関係、在留期間、変更・更新、申請時の必要書類、副業やアルバイト(資格外活動許可)などについて解説しています。
教授ビザの申請をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:行政書士/宇佐見崇
もくじ
1. 教授ビザとは?
教授ビザは、日本の大学・日本の大学に準ずる機関・高等専門学校(高専)において、研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動を行う外国人のためのビザ(在留資格)です。
たとえば、教授・准教授・講師・助教・助手、学長・所長・校長・副学長・副校長・教頭などがあてはまります。
2. 教授ビザの要件(条件)
教授ビザは、日本の法律(出入国管理及び難民認定法)で次のように定められています。
日本での活動が次に該当していることが、教授ビザの要件(条件)となります。
本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動
出入国管理及び難民認定法 別表第1の1の表
- 日本の大学・日本の大学に準ずる機関・高等専門学校(高専)において、研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動が該当します。
- 「大学」は、短期大学・大学院・大学の専攻科・大学の別科・大学に附置された研究施設を含みます。
- 「これに準ずる機関」は、後記の日本の大学に準ずる機関一覧を参照してください。
- 「研究、研究の指導又は教育をする活動」は、たとえば、教授・准教授・講師・助教・助手、学長・所長・校長・副学長・副校長・教頭などとしての活動が該当します。
*上記の職名は例示です。教授ビザに該当するか否かは、常勤または非常勤にかかわらず、実質的に研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動を行うか否かで判断されます。 - 外国人が契約する機関が、日本の大学・日本の大学に準ずる機関・高等専門学校(高専)以外でも、研究等を行う場所がこれらの教育機関である場合は、教授ビザに該当します。
- 日本の公私の機関との契約に基づいて、日本の大学・日本の大学に準ずる機関・高等専門学校以外の機関において研究を行う業務に従事する活動は、研究ビザに該当します。
- 日本の小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・専修学校・各種学校・設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において教育をする活動は、教育ビザに該当します。
- 民間の語学スクールの講師など一般企業において教育をする活動は、技術・人文知識・国際業務ビザ等に該当しえます。
- 収入を伴わない学術上の活動は、文化活動ビザに該当します。
- 在留期間は「5年、3年、1年、3ヶ月」の中で、いずれかの期間が決定されます。
- 教授ビザの許可を受けるには、日本で教授ビザに該当する活動を行い、その活動で安定した生活をおくることのできる十分な収入を得られる必要があります。
教授ビザに該当する活動のみでは、日本で在留する上で必要な収入を得られないときは、資格外活動許可を受けて行う副業やアルバイト等の収入を含めて判断されます。
なお、資格外活動許可を受けて行う活動の収入が、教授ビザの活動で得られる収入を上回るときは、資格外活動に係るビザとなることがあります。
- 設備・カリキュラム編成において大学と同等と認められる機関
水産大学校、海技大学校(分校を除く)、航海訓練所、航空大学校、海上保安大学校、海上保安大学校、海上保安学校、気象大学校、防衛大学校、防衛医科大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、航空保安大学校、職業能力開発短期大学校、国立海上技術短期大学校(専修科に限る)、国立看護大学校、文部科学大臣が告示により指定する外国の教育機関、国際連合大学 - 大学共同利用機関
国立歴史民俗博物館、国文学研究資料館、国立国語研究所、国際日本文化研究センター、総合地球環境学研究所、国立民族学博物館、国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所、素粒子原子核研究所、物質構造科学研究所、国立極地研究所、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立遺伝学研究所
>【文部科学省】大学共同利用機関法人 - 卒業した者が大学の専攻科・大学院の入学に関し大学卒業者と同等であるとして入学資格を付与される機関
テンプル大学ジャパン、専修学校ロシア極東大函館校、天津中医薬大学中薬学院日本校、北京語言大学東京校、上海大学東京校、レイクランド大学ジャパン・キャンパス、曁南大学日本学院、アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院日本校など
>【文部科学省】外国大学等の日本校の指定
各省大学校(防衛大学校、防衛歯科大学、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校など)、国際連合大学 - 機関の職員が教員職棒給表の適用を受ける機関
気象大学校、海上保安大学校 - その他
独立行政法人大学入試センター、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構
*各省所管の大学校(警察大学校等)、社会保険大学校、中小企業大学校、道府県立の農業大学校や、 株式会社・職業訓練法人・学校法人・財団法人・特定非営利法人等の設置する大学校は、日本の大学に準ずる機関に含まれません。
3. 変更・更新のガイドライン
在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請は、上記「2. 教授ビザの要件(条件)」に該当していることに加えて、次の事項が考慮されます。
なお、次の事項は代表的な考慮要素です。これらのすべてに該当する場合でも、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更・更新の申請が不許可となることもあります。
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
申請人である外国人が、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要です。
例えば、除籍・退学後も在留を継続していた留学生については、現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことについて正当な理由がある場合を除き、消極的な要素として評価されます。 - 素行が不良でないこと
素行については、善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価されます。
具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。 - 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
申請人の生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産または技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります。)が求められます。
仮に公共の負担となっている場合でも、在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には、その理由を十分勘案して判断されることとなります。 - 雇用・労働条件が適正であること
就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。
なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して判断されることとなります。 - 納税義務を履行していること
納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。
例えば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。
なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱われます。 - 入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人の方は、入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
<中長期在留者の範囲>
入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人で、次の①~⑤のいずれにも該当しない者
① 3ヶ月以下の在留期間が決定された者
② 短期滞在の在留資格が決定された者
③ 外交・公用の在留資格が決定された者
④ ①②③に準ずる者として法務省令で定めるもの
⑤ 入管特例法に基づく特別永住者
在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン
4. 教授ビザの質問
教授ビザについて、よくある質問をご紹介します。
教授ビザというと、最初に大学教授を思い浮かべる方が多いかと思いますが、大学教授でなくても教授ビザを取得できます。
所属(活動)機関については、日本の大学(短期大学・大学院・大学の専攻科・大学の別科・大学に附置された研究施設を含む)のほかに、日本の大学に準ずる機関と高等専門学校(高専)も対象となります。
職名については、教授のほかに、准教授・講師・助教・助手、学長・所長・校長・副学長・副校長・教頭なども対象となります、これら以外の職名でも、実際に大学等において研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動を主として行う方でしたら、職名・肩書などに関わらず対象となります。
大学等において研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動を主として行い、その活動で安定した生活をおくることのできる十分な収入(継続して得られると見込まれるもの)を得られれば、非常勤でも教授ビザを取得できます。
ちなみに、複数の大学等で非常勤職員として活動するときは、それぞれの報酬を合計して安定した生活をおくることのできる十分な収入を得られればOKです。
非常勤職員としての活動だけでは、日本で在留する上で必要な収入を得られないときは、資格外活動許可を受けて行う副業やアルバイト等の収入を含めて判断されます。
教授ビザは、大学等において研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動が該当しますが、この3つの活動うち1つだけを行うといったときでも該当します。
たとえば、研究活動に専念するために、大学等において研究をする活動のみを行う方も教授ビザを取得しえます。
教授ビザと研究ビザは研究に係るビザという点で共通しますが、「日本の大学・日本の大学に準ずる機関・高等専門学校(高専)において、研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動」は、研究ビザではなく、教授ビザの対象となります。
なお、入管法で、研究ビザは「教授の項の下欄に掲げる活動を除く」とされています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(1の表の教授の項の下欄に掲げる活動を除く。)
出入国管理及び難民認定法 別表第1の2の表
教授ビザと教育ビザは教育に係るビザという点で共通しますが、おもに所属(活動)機関に違いがあります。
- 教授ビザ … 高等専門学校(高専)、大学(短期大学・大学院・大学の専攻科・大学の別科・大学に附置された研究施設を含む)、日本の大学に準ずる機関
- 教育ビザ … 小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・専修学校・各種学校・設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関
出入国在留管理局に提出する基本的な申請書類については、次の出入国在留管理庁のページを参照してください。
当事務所では、出入国在留管理庁のページに記載されている基本的な申請書類に加えて、申請理由書や状況に応じた申請書類などを提出しています。
出入国在留管理庁のページに記載されている基本的な申請書類だけでも受け付けてもらえますが、不許可や審査期間の長期化などのリスクを避けるために、申請理由書や状況に応じた申請書類などを提出して、法令の要件をクリアしていることを十分に立証しましょう。
教授ビザの活動の範囲内でしたら、副業やアルバイト等をすることができます。
また、副業やアルバイト等の内容が、教授ビザの活動の範囲外となる場合でも、出入国在留管理局へ資格外活動許可の申請をして、許可を受ければすることができます。
教授ビザの方が受ける資格外活動許可は、企業等の名称・所在地・業務内容などを個別に指定して許可される個別的許可です。単純労働や風俗営業等はできません。
たとえば、飲食店・コンビニ・スーパーでのアルバイトといった、いわゆる単純労働はできませんが、民間の語学スクールの講師の副業やアルバイト等は許可される可能性が高いです。
不法就労にならないように、かならず許可を受けてからその範囲内で働くようにしましょう。
5. 教授ビザ:まとめ
最後に、教授ビザの重要ポイントをまとめました。
- 教授ビザは、日本の大学・日本の大学に準ずる機関・高等専門学校(高専)において、研究をする活動・研究の指導をする活動・教育をする活動を行う外国人のためのビザ(在留資格)。
- たとえば、教授・准教授・講師・助教・助手、学長・所長・校長・副学長・副校長・教頭などとしての活動が該当する。
- 4年制の大学だけでなく、短期大学・大学院・大学の専攻科・大学の別科・大学に附置された研究施設、日本の大学に準ずる機関、高等専門学校(高専)での活動も教授ビザに該当する。
- 在留期間は「5年、3年、1年、3ヶ月」の中で、いずれかの期間が決定される。
- 許可を受けるには、日本で教授ビザに該当する活動を行い、その活動で安定した生活をおくることのできる十分な収入を得られる必要がある。
- 教授ビザに該当する活動だけでは、日本で在留する上で必要な収入を得られないときは、資格外活動許可を受けて行う副業やアルバイト等の収入を含めて判断される。
- 申請書類(必要書類)は、出入国在留管理庁(入管)のページで最新のものを確認する。
>【出入国在留管理庁】各種手続 - 資格外の副業やアルバイト等でも、資格外活動許可の申請をして、許可されれば行うことができる。
教授ビザで受ける資格外活動許可は、企業等の名称・所在地・業務内容などを個別に指定して許可される個別的許可となる。単純労働や風俗営業等はできない。
たとえば、飲食店・コンビニ・スーパーでのアルバイトといった、いわゆる単純労働はできないが、民間の語学スクールの講師の副業・アルバイト等は許可される可能性が高い。
以上、行政書士が解説しました。教授ビザのくわしい内容は、無料そうだんでも個別にご案内しています。どうぞお気軽にお声がけください。