定住者 Long Term Resident
この記事は、定住者ビザの要件(条件)、在留期間、変更・更新、申請時の必要書類、定住者と永住者の違いなどについて解説しています。
定住者ビザの申請をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:行政書士/宇佐見崇
もくじ
1. 定住者ビザ(定住権)とは?
定住者ビザは、特別な理由があって、期限付きで長期的に日本に住む外国人のためのビザ(在留資格)です。「定住権(ていじゅうけん)」という通称で呼ばれることもあリます。
就労制限がなく、日本人とほぼ同じように仕事をすることができ、飲食店・コンビニ・スーパーでのアルバイトといった、いわゆる単純労働もできるビザです。
他の身分系のビザには該当しない人の受皿としての役割があり、たとえば、次のような方に認められます。
- 日系2世・3世
- 定住者の家族(妻・夫・子ども)
- 配偶者の連れ子
- 配偶者と離婚・死別した者
- 日本人との子を監護・養育する者
- 日本の高校卒業後に就職する者
2. 定住者ビザ(定住権)の要件(条件)
定住者ビザ(定住権)は、日本の法律(出入国管理及び難民認定法)で次のように定められています。
次の身分または地位に該当していることが、定住者ビザの要件(条件)となります。
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
出入国管理及び難民認定法 別表第2
定住者ビザには、上記の「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」として、法務大臣があらかじめ告示で定めている告示定住と、それ以外の告示外定住の2種類があります。
在留期間は、告示定住は「5年、3年、1年、6ヶ月」の中でいずれかの期間、告示外定住は「法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)」が決定されます。
3. 定住者ビザ(定住権):告示定住
法務大臣があらかじめ告示で定めているものを告示定住といいます。
告示定住の在留資格認定証明書交付申請は、次の1号から8号のいずれかに該当している必要があります。
また、告示定住の在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請についても、次の1号から8号のいずれかに原則として該当している必要があります。
*更新については、年齢を重ねたり、扶養を受ける状況が消滅する等の入国後の事情の変更により、申請人の年齢や扶養を受けていること等の要件(条件)に適合しなくなることがありますが、このことにより直ちに更新が不許可となることはありません。
1号 第三国定住難民
インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、フィリピン、ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル又はラオス国内に一時滞在している者であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要なものと認め、我が国に対してその保護を推薦するもののうち、次のいずれかに該当するものに係るもの
イ 日本社会への適応能力がある者であって、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれるもの、その配偶者又はこれらの者の子、父母若しくは未婚の兄弟姉妹
ロ この号(イに係るものに限る。)に掲げる地位を有する者として上陸の許可を受けて上陸しその後引き続き本邦に在留する者が当該許可を受けて上陸する直前まで一時滞在していた国に滞在する当該者の親族であって、親族間での相互扶助が可能であるもの
定住者告示1号
2号 改正により削除
削除
定住者告示2号
3号 日系2世・3世
日本人の子として出生した者の実子(第1号又は第8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの
定住者告示3号
- 3号「日系2世・3世」は、日本人の子として出生した者の実子(第1号又は第8号に該当する者を除く。)で、素行が善良であるものが該当します。
- 「日本人の子として出生した者」は、出生の時に父または母が日本国籍を有する者であったもののことです。
- 「実子」は、血縁関係のある子のことです。
- かっこ書「(第1号又は第8号に該当する者を除く。)」により、1号「第三国定住難民」または8号「中国残留邦人等、その親族等」に該当する者は、本号ではなく、これらの号が適用(優先)されます。
- 「素行が善良であるもの」とあり、犯罪歴(軽微なものを除く)等がある者は、これに適合しません。
くわしくは、後記「素行善良要件」を参照してください。 - 出生の時に親である「日本人の子として出生した者」が日本国籍を有していると、その実子も「日本人の子として出生した者」となります。
そのため、本号の実子の親は、「日本人の子として出生した者」で、かつ、その出生の時に日本国籍を有していないものとなります。
*「日本人の子として出生した者」は、日本人の配偶者等ビザに該当します。 - 本号は、「出生により日本国籍を取得し、その後日本国籍を離脱した元日本人の、日本国籍離脱後に生まれた実子(日系2世)」や、「出生により日本国籍を取得し、その後日本国籍を離脱した元日本人の、日本国籍離脱前に生まれた実子の実子である孫(日系3世)」などが対象となります。
- 出生により日本国籍を取得し、その後日本国籍を離脱した元日本人の、日本国籍離脱後に生まれた実子(日本国籍を有しないもの)の実子(日系3世)は、次号4号の対象となります。
4号 日系3世
日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(第1号、第3号又は第8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの
定住者告示4号
- 4号「日系3世」は、日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(第1号、第3号又は第8号に該当する者を除く。)で、素行が善良であるものが該当します。
- 「日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるもの」は、日本人の子として出生し、かつ、日本国籍を有していたことがある者で、その後日本国籍を失ったもののことです。
- 「実子の実子」は、血縁関係のある孫のことです。
- かっこ書「(第1号、第3号又は第8号に該当する者を除く。)」により、1号「第三国定住難民」、3号「日系2世・3世」または8号「中国残留邦人等、その親族等」に該当する者は、本号ではなく、これらの号が適用(優先)されます。
- 「素行が善良であるもの」とあり、犯罪歴(軽微なものを除く)等がある者は、これに適合しません。
くわしくは、後記「素行善良要件」を参照してください。 - 本号は、出生により日本国籍を取得し、その後日本国籍を離脱した元日本人の、日本国籍離脱後に生まれた実子(日本国籍を有しないもの)の実子(日系3世)が対象となります。
- 1年以上の在留期間を指定されている定住者(日系3世)の扶養を受けて生活する、その者の未成年・未婚の実子(日系4世)は、6号ハの対象となります。
5号 日系2世の配偶者、定住者の配偶者
次のいずれかに該当する者(第1号から前号まで又は第8号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したものの配偶者
ロ 1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(第3号又は前号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者及びこの号に該当する者として上陸の許可を受けた者で当該在留期間中に離婚をしたものを除く。)の配偶者
ハ 第3号又は前号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するもの(この号に該当する者として上陸の許可を受けた者で当該在留期間中に離婚をしたものを除く。)の配偶者であって素行が善良であるもの
定住者告示5号
- 5号「日系2世の配偶者、定住者の配偶者」は、日本人の配偶者等ビザまたは定住者ビザで在留する者の配偶者(第1号から前号まで又は第8号に該当する者を除く。)について定めています。
- かっこ書「(第1号から前号まで又は第8号に該当する者を除く。)」により、1号「第三国定住難民」、3号「日系2世・3世」、4号「日系3世」または8号「中国残留邦人等、その親族等」に該当する者は、本号ではなく、これらの号が適用(優先)されます。
- 5号イは、日本人の配偶者等ビザで在留する者のうち、日本人の子として出生したもの(日系2世)の配偶者が該当します。
- 5号ロは、定住者ビザで在留する者(在留期間1年以上)の配偶者が該当します。
かっこ書のとおり、定住者ビザで在留する者(在留期間1年以上)が、3号・4号(日系2・3世)として許可を受けた者であるときは該当しません。 - 5号ハは、定住者ビザで在留する者(在留期間1年以上)の配偶者で、素行が善良であるものが該当します。
定住者ビザで在留する者(在留期間1年以上)は、3号・4号(日系2・3世)として許可を受けた者に限られます。
犯罪歴(軽微なものを除く)等があると「素行が善良であるもの」に適合しません。
くわしくは、後記「素行善良要件」を参照してください。 - 5号ロ・ハのかっこ書「当該在留期間中に離婚をしたものを除く」により、日本に入国するために定住者と婚姻して、定住者となった後に離婚し、再度婚姻してその配偶者を定住者の配偶者として呼びよせるといったことはできません。
6号 扶養を受けて生活する未成年・未婚の実子
次のいずれかに該当する者(第1号から第4号まで又は第8号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)に定める特別永住者(以下「特別永住者」という。)の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
ロ 1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(第3号、第4号又は前号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者を除く。)の扶養を受けて生活する当該者の未成年で未婚の実子
ハ 第3号、第4号又は前号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子であって素行が善良であるもの
ニ 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
定住者告示6号
- 6号「扶養を受けて生活する未成年・未婚の実子」は、次の者の扶養を受けて生活する、これらの者の未成年・未婚の実子(第1号から第4号まで又は第8号に該当する者を除く。)について定めています。
①日本人
②永住者
③特別永住者
④定住者(在留期間1年以上)
⑤日本人、永住者、特別永住者、定住者(在留期間1年以上)の配偶者(配偶者等ビザで在留する者に限る)
*上記「永住者」は永住者ビザで在留する者、「定住者」は定住者ビザで在留する者のことです。 - かっこ書「(第1号から第4号まで又は第8号に該当する者を除く。)」により、1号「第三国定住難民」、3号「日系2世・3世」、4号「日系3世」または8号「中国残留邦人等、その親族等」に該当する者は、本号ではなく、これらの号が適用されます。
- 6号イは、日本人、永住者、特別永住者の扶養を受けて生活する、これらの者の未成年・未婚の実子が該当します。
◎日本人の実子のうち、日本人の子として出生した者は、日本人の配偶者等ビザに該当します(日本人の子として出生した者の実子は、3号「日系2世・3世」に該当します)。
そのため、日本人の実子のうち、6号イの対象となるのは、帰化により日本国籍を取得した者の帰化前の子となります。
◎永住者・特別永住者の実子のうち、日本で出生し引き続き日本に在留する者は、永住者(出生後の永住許可)、永住者の配偶者等ビザ(出生後の永住許可や特別永住許可が認められなかったとき)、または特別永住者に該当します。
そのため、永住者・特別永住者の実子のうち、6号イの対象となるのは、日本国外で出生した者または日本で出生後引き続き日本に在留していない者となります。 - 6号ロは、定住者(在留期間1年以上)の扶養を受けて生活する、その者の未成年・未婚の実子が該当します。
かっこ書のとおり、定住者(在留期間1年以上)が、3号・4号・5号ハ(日系2・3世、その配偶者)として許可を受けた者であるときは該当しません。 - 6号ハは、定住者(在留期間1年以上)の扶養を受けて生活する、その者の未成年・未婚の実子で、素行が善良であるものが該当します。
定住者(在留期間1年以上)は、3号・4号・5号ハ(日系2・3世、その配偶者)として許可を受けた者に限られます。
犯罪歴(軽微なものを除く)等があると「素行が善良であるもの」に適合しません。
くわしくは、後記「素行善良要件」を参照してください。 - 6号ニは、日本人、永住者、特別永住者、定住者(在留期間1年以上)の配偶者(配偶者等ビザで在留する者に限る)の扶養を受けて生活する、これらの者の未成年・未婚の実子が該当します。
配偶者は、日本人の配偶者等ビザまたは永住者の配偶者等ビザで在留する者に限られます。 - 6号ニは「連れ子*定住」と呼ばれることのある規定です。相手方配偶者と子が養子縁組をする必要はありません。
連れ子* … すでに子のある者がその子を連れて再婚した場合に、相手方配偶者からみて、その子のことを連れ子という。 - 本号の申請は、申請理由書に、いままでの実子の養育についての経緯・日本で養育する必要性・来日後の養育の予定(入学予定の学校等)・扶養するための十分な資力があることなどを説得力のある文章で具体的に書くことがポイントです。
また、両親の婚姻の信ぴょう性や、両親と実子の住居地が一致しているかも確認されます。住居地が一致していないときは、その理由の合理的な説明が必要です。
配偶者等ビザの申請時の申請書や質問書に、実子の氏名・生年月日・出生地などの記載をしていることも重要です。 - 「扶養を受けて生活する」「未成年」「未婚」については、扶養を受ける状況が消滅する・年齢を重ねる・婚姻するなど、日本入国後の事情の変更により適合しなくなることがありますが、このことにより直ちに在留期間更新が不許可とはなりません。
7号 6歳未満の養子
次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の6歳未満の養子(第1号から第4号まで、前号又は次号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人
ロ 永住者の在留資格をもって在留する者
ハ 1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者
ニ 特別永住者
定住者告示7号
- 7号「6歳未満の養子」は、次の者の扶養を受けて生活する、これらの者の6歳未満の養子(普通養子・特別養子)(第1号から第4号まで、前号又は次号に該当する者を除く。)が該当します。
イ 日本人
ロ 永住者
ハ 定住者(在留期間1年以上)
ニ 特別永住者
*上記「永住者」は永住者ビザで在留する者、「定住者」は定住者ビザで在留する者のことです。 - かっこ書「(第1号から第4号まで、前号又は次号に該当する者を除く。)」により、1号「第三国定住難民」、3号「日系2世・3世」、4号「日系3世」、6号「扶養を受けて生活する未成年・未婚の実子」または8号「中国残留邦人等、その親族等」に該当する者は、本号ではなく、これらの号が適用(優先)されます。
- 「6歳未満」については、日本入国後に6歳となり適合しなくなることがありますが、このことにより直ちに在留期間更新が不許可とはなりません。
8号 中国残留邦人等、その親族等
次のいずれかに該当する者に係るもの
イ 中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの
ロ 前記イを両親として昭和20年9月3日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者
ハ 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成6年厚生省令第63号)第1条第1号若しくは第2号又は第2条第1号若しくは第2号に該当する者
ニ 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)第2条第1項に規定する中国残留邦人等であって同条第4項に規定する永住帰国により本邦に在留する者(以下「永住帰国中国残留邦人等」という。)と本邦で生活を共にするために本邦に入国する当該永住帰国中国残留邦人等の親族であって次のいずれかに該当するもの
(1) 配偶者
(2) 20歳未満の実子(配偶者のないものに限る。)
(3) 日常生活又は社会生活に相当程度の障害がある実子(配偶者のないものに限る。)であって当該永住帰国中国残留邦人等又はその配偶者の扶養を受けているもの
(4) 実子であって当該永住帰国中国残留邦人等(55歳以上であるもの又は日常生活若しくは社会生活に相当程度の障害があるものに限る。)の永住帰国後の早期の自立の促進及び生活の安定のために必要な扶養を行うため本邦で生活を共にすることが最も適当である者として当該永住帰国中国残留邦人等から申出のあったもの
(5) 前記(4)に規定する者の配偶者
ホ 6歳に達する前から引き続き前記イからハまでのいずれかに該当する者と同居し(通学その他の理由により一時的にこれらの者と別居する場合を含む。以下同じ。)、かつ、これらの者の扶養を受けている、又は6歳に達する前から婚姻若しくは就職するまでの間引き続きこれらの者と同居し、かつ、これらの者の扶養を受けていたこれらの者の養子又は配偶者の婚姻前の子
定住者告示8号
- 「法律施行規則(平成6年厚生省令第63号)」は、次のページを参照してください。
>【e-Gov法令検索】中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則 - 「法律(平成6年法律第30号)」は、次のページを参照してください。
>【e-Gov法令検索】中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律
素行善良要件
定住者告示3号、4号、5号ハ、6号ハの「素行が善良であるもの」は、審査要領で次のいずれにも該当しない者とされています。
- 日本国又は日本以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ)に処せられたことがある者
ただし、以下のいずれかに該当する場合には、該当しないものとして扱う。
◯ 懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑については、そのすべての刑の執行を終わり若しくは執行の免除を得た日から10年を経過し、又は、刑の執行猶予の言渡し若しくはこれに相当する措置を受けた場合で当該執行猶予の期間若しくはこれに相当する期間を経過したとき。
◯ 罰金刑又はこれに相当する刑については、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年を経過したとき。
◯ 復権により資格を回復したとき。 - 少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号及び第3号)が継続中の者
- 日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者
- 他人に入管法に定める証明書の交付又は許可を受けさせる目的で不正な行為を行った者又は不法就労のあっせんを行った者
入国・在留審査要領
- 在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請・在留資格取得許可申請は、①~④のいずれかに該当する者でも、引き続き在留を認めるに足りる特段の理由がある者については、許可されることがあります。
- 日本国の法令違反による犯罪歴の確認は、地方検察庁・少年院・保護観察所などへの照会により行われます。
- 日本以外の国の法令違反による犯罪歴の確認は、国籍国または日本入国前の居住国の権限のある機関が発行した犯罪経歴証明書または無犯罪証明書により行われます。
4. 定住者ビザ(定住権):告示外定住
告示により、前もって定められていないものを告示外定住といいます。以下では、告示外定住の中でも特に代表的なものをご紹介します。
なお、告示外定住は在留資格認定証明書の交付がありません。
告示定住は在留資格認定証明書が交付されますが、告示外定住は交付されません。
そのため、他のビザで在留している間に、定住者ビザへの在留資格変更許可申請を行い許可を受ける必要があります。
離婚定住
離婚定住は、日本人、永住者、特別永住者である配偶者と離婚後、引き続き日本での在留を希望する者に認められます。
日本人の配偶者等ビザや永住者の配偶者等ビザの方は、離婚すると配偶者等ビザの該当性が失われ、配偶者等ビザで在留することが難しくなります。離婚定住は、引き続き日本での在留を希望するときに、ビザの変更先のひとつになります。
- 日本において、おおむね3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められること
- 生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- 日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
- 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
- ①「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。
別居していた期間があっても、夫婦としての相互扶助・交流が継続して認められれば、これに該当します。
おおむね3年以上、正常な婚姻関係・家庭生活が継続していれば、現在のビザが在留期間1年のものでも(3年・5年でなくても)許可される可能性があります。 - ③「日本語の能力」は、たとえば、申請書の記載や面接で申請人との意思の疎通ができればよく、日本語の試験に合格していることまでは問われません。
- 離婚定住の申請は、在留を希望する理由・結婚から離婚までの経緯・上記の要件に該当することなどを説得力のある文章で具体的に書くことがポイントです。
なお、出入国在留管理局から以前の配偶者へ、離婚の理由・事情などの聴取が行われることがあります。離婚の原因が以前の配偶者からのDV(家庭内暴力)のときは、許可される可能性が高くなります。 - 配偶者と離婚した場合は、離婚した日から14日以内に、本人が出入国在留管理局へ配偶者に関する届出をする必要があります。14日を過ぎてしまったときでも、速やかに届出をしてください。
死別定住
死別定住は、日本人、永住者、特別永住者である配偶者が死亡した後、引き続き日本での在留を希望する者に認められます。
日本人の配偶者等ビザや永住者の配偶者等ビザの方は、相手方の配偶者が死亡すると配偶者等ビザの該当性が失われ、配偶者等ビザで在留することが難しくなります。死別定住は、引き続き日本での在留を希望するときに、ビザの変更先のひとつになります。
- 配偶者の死亡までの直前のおおむね3年以上、日本において正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められること
- 生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- 日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
- 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
- ①「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。
別居していた期間があっても、夫婦としての相互扶助・交流が継続して認められれば、これに該当します。
おおむね3年以上、正常な婚姻関係・家庭生活が継続していれば、現在のビザが在留期間1年のものでも(3年・5年でなくても)許可される可能性があります。 - ③「日本語の能力」は、たとえば、申請書の記載や面接で申請人との意思の疎通ができればよく、日本語の試験に合格していることまでは問われません。
- 配偶者と死別した場合は、離婚した日から14日以内に、本人が出入国在留管理局へ配偶者に関する届出をする必要があります。14日を過ぎてしまったときでも、速やかに届出をしてください。
日本人の実子を監護・養育する者
日本人実子扶養定住は、日本人との間に生まれた実子を、監護・養育する者に認められます。
- 生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- 日本人との間に出生した子を監護・養育している者であって、次のいずれにも該当すること
イ 日本人の実子の親権者であること
ロ 現に相当期間当該実子を監護・養育していることが認められること
- ②イ「日本人の実子」は、出生の時に父または母が日本国籍を有している者をいいます。実子の日本国籍の有無は問われません。
また、非嫡出子(法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子)も含まれますが、日本国籍を有しない非嫡出子の場合は、日本人の父から認知されている必要があります。
日本人の父から認知されているものの、認知が日本人の実子の出生から相当期間の後にされている場合は、日本人の実子の出生から認知までの事情、その間の交流状況、認知の届出が遅れた理由等について審査されます。 - ②ロ「監護・養育」は、親権者等が未成年者を監督し、保護することをいいます。
定住者ビザが許可された後に監護・養育している状況でなくなると、その後の在留期間更新許可申請は不許可となる可能性が高いです(実子が就労または婚姻して独立した場合を除く)。 - 日本人と離婚・死別後に日本人との間の実子を親権をもって監護・養育するときは、日本人との婚姻期間がおおむね3年に満たなくても許可されることが多いです。
この点は、前述の離婚定住や死別定住と異なります。
なお、日本人の実子を監護・養育する者が、外国人父のときでも許可されえます。
また、婚姻していない日本人と外国人との間の子を扶養するときも対象となります。
日本の高校卒業後の就職者
日本の高校卒業後の就職者は、家族滞在ビザ等で日本に在留する者のうち、日本の小学校・中学校を修了して、日本の高等学校を卒業後に就労する者に認められます。
- 日本の義務教育(小学校・中学校)を修了していること
- 日本の高等学校を卒業していること又は卒業見込みであること
- 入国後、引き続き家族滞在等の在留資格をもって日本に在留していること
- 入国時に18歳未満であること
- 就労先が決定(内定を含む)していること
- 住居地の届出等、公的義務を履行していること
*日本の小学校・中学校を修了していない方でも、日本の高等学校を卒業していれば(又は卒業見込みであれば)、特定活動ビザ(告示外特定活動)を認められます。
- ①「小学校」は、学校教育法第1条に規定する小学校をいい、義務教育学校の前期課程・特別支援学校の小学部を含みます。
- ①「中学校」は、学校教育法第1条に規定する中学校(夜間中学を含む)をいい、義務教育学校の後期課程・中等教育学校の前期課程・特別支援学校の中学部を含みます。
- ②「高等学校」は、学校教育法第1条に規定する高等学校(定時制課程・通信制課程を含む)をいい、中等教育学校の後期課程・特別支援学校の高等部を含みます。
また、高等専門学校(高専)も対象となります。 - ③「家族滞在等の在留資格をもって」は、家族滞在ビザ以外のビザ(留学ビザ等)で在留している方でも、家族滞在ビザの在留資格該当性がある人は対象となります。
- ⑤は、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労するときに対象となります。
5. 変更・更新のガイドライン
在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請は、上記「2. 定住者ビザ(定住権)の要件(条件)」に該当していること、定住者告示に該当し在留している場合は、原則として引き続き定住者告示に該当していることに加えて、次の事項が考慮されます。
なお、次の事項は代表的な考慮要素です。これらのすべてに該当する場合でも、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更・更新の申請が不許可となることもあります。
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
申請人である外国人が、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要です。
例えば、失踪した技能実習生や、除籍・退学後も在留を継続していた留学生については、現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことについて正当な理由がある場合を除き、消極的な要素として評価されます。 - 素行が不良でないこと
素行については、善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価されます。
具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。 - 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
申請人の生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産または技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります。)が求められます。
仮に公共の負担となっている場合でも、在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には、その理由を十分勘案して判断されることとなります。 - 雇用・労働条件が適正であること
日本で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。
なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して判断されることとなります。 - 納税義務等を履行していること
納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。
例えば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。
なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱われます。
また、国民健康保険料など、法令によって納付することとされているものについて、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱われます。
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人の方は、入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
<中長期在留者の範囲>
入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人で、次の①~⑤のいずれにも該当しない者
① 3ヶ月以下の在留期間が決定された者
② 短期滞在の在留資格が決定された者
③ 外交・公用の在留資格が決定された者
④ ①②③に準ずる者として法務省令で定めるもの
⑤ 入管特例法に基づく特別永住者
2024年10月:在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン
6. 定住者ビザ(定住権)の質問
定住者ビザ(定住権)について、よくある質問をご紹介します。
出入国在留管理局に提出する基本的な申請書類については、次の出入国在留管理庁のページを参照してください。
当事務所では、出入国在留管理庁のページに記載されている基本的な申請書類に加えて、申請理由書や状況に応じた申請書類などを提出しています。
出入国在留管理庁のページに記載されている基本的な申請書類だけでも受け付けてもらえますが、不許可や審査期間の長期化などのリスクを避けるために、申請理由書や状況に応じた申請書類などを提出して、法令の要件をクリアしていることを十分に立証しましょう。
日系の方は、定住者告示で未成年・未婚の4世(告示6号ハ)までが定められています。
そのため、日系4世の方も、一定の要件のもと定住者ビザを取得できます。
*18歳以上30歳以下の日系4世の方については、2018年7月にスタートした「日系4世の更なる受入制度」を利用すると、日本の文化や日本語などを学ぶための特定活動ビザ(告示43号)で在留(最長5年間)できます。
定住者ビザの申請から許可までのおおよその期間は以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請 … 1ヶ月〜3ヶ月
- 在留資格変更許可申請 … 2週間〜1ヶ月
- 在留期間更新許可申請 … 2週間〜1ヶ月
*申請から許可までの日数は、申請時期・申請内容などによって異なります。
【2023年】ビザ審査期間:在留資格申請から許可までどのくらい? 【2022年】ビザ審査期間:在留資格申請から許可までどのくらい?
定住者は、特別な理由があって、期限付きで長期的に日本に住むことを認められた外国人のことです。
定住者ビザをもつ外国人のことを「定住者」といったり、定住者ビザのことを「定住権(ていじゅうけん)」ということがあります。
永住者は、無期限で永続的に日本に住むことを認められた外国人のことです。
永住者ビザをもつ外国人のことを「永住者」といったり、永住者ビザのことを「永住権(えいじゅうけん)」といったりします。
定住者と永住者の大きな違いは、在留期間に期限があるかないかです。
定住者(定住権)は、在留期間に期限があり、期限前に更新(延長)する必要があります。更新手続で不許可になってしまうと、日本で生活できなくなることがあリえます。
永住者(永住権)は、在留期間に期限がなく、更新する必要がないため、更新手続で不許可になる心配や更新手続の手間がありません。また、無期限で安定して生活できることから、日本での社会的信用度が高いといえます。
永住者と定住者の違いは?:永住権と定住権を比べてみた
定住者ビザの方は、特例によって永住者ビザを取得しやすくなっています。
具体的には、永住者ビザを取得するには「原則として引き続き10年以上日本に在留していること」が要件となりますが、定住者ビザの方は「5年以上継続して日本に在留」していれば、特別にこの要件をクリアします。
永住権とは?:日本の永住者ビザ(在留資格)を行政書士が解説!
7. 定住者ビザ(定住権):まとめ
最後に、定住者ビザ(定住権)の重要ポイントをまとめました。
- 定住者ビザは、特別な理由があって、期限付きで長期的に日本に住む外国人のためのビザ(在留資格)。通称「定住権」。
- 就労制限のないビザで、日本人とほぼ同じように仕事をすることができる。飲食店・コンビニ・スーパーでのアルバイトといった、いわゆる単純労働も可能。
- たとえば、次のような外国人に許可される。
・日系2世・3世
・定住者の家族(妻・夫・子ども)
・配偶者の連れ子
・配偶者と離婚・死別した者
・日本人との子を監護・養育する者
・日本の高校卒業後に就職する者 - 定住者ビザには告示定住と告示外定住の2種類がある。
- 在留期間は、告示定住は「5年、3年、1年、6ヶ月」の中でいずれかの期間、告示外定住は「法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)」が決定される。
- 在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請は、「2. 定住者ビザ(定住権)の要件(条件)」に該当していること、定住者告示に該当し在留している場合は、原則として引き続き定住者告示に該当していることに加えて、「5. 変更・更新のガイドライン」の事項等が考慮される。
- 申請書類(必要書類)は、出入国在留管理庁(入管)のページで最新のものを確認する。
>【出入国在留管理庁】各種手続 - 定住者ビザと永住者ビザの大きな違いは、在留期間に期限があるかないか。
定住者ビザは在留期間に期限があり、期限前に更新する必要がある。永住者ビザは在留期間に期限がなく、更新する必要がない。 - 定住者は、通常よりも永住者ビザを取得しやすい(必要な在留年数が短縮される)。
以上、行政書士が解説しました。定住者ビザ(定住権)のくわしい内容は、無料そうだんでも個別にご案内しています。どうぞお気軽にお声がけください。